高血圧
高血圧は腎臓に大きな影響を及ぼし、慢性腎臓病(CKD)や腎不全を引き起こす要因の一つです。また、腎臓の機能低下によって血圧がさらに上昇し、悪循環に陥ることがあります。そのため、適切な血圧管理が重要です。
血圧測定のポイント
腕での血圧測定のポイント
1. 測定前に5分ほど安静にする
身体をリラックスさせ、深呼吸をして落ち着いた状態で測定しましょう。
2. 座った状態で測定する
背もたれのある椅子に座り、足を組まず、リラックスした姿勢をとります。
測定する腕は心臓の高さに保ち、テーブルやクッションなどで支えるとよいでしょう。
3. カフ(血圧計のバンド)を正しく巻く
カフを肘の少し上(約2~3cm)に巻き、適度な締め具合に調整します。
締めすぎや緩すぎると正確な測定ができません。
4. 毎日同じ時間に測定する
血圧は1日の中で変動するため、毎日決まった時間(朝起床後や就寝前など)に測定することが大切です。
手首での血圧測定のポイント
手首で測定する場合も基本的なポイントは同じですが、以下の点に注意しましょう。
- 手首を心臓の高さに合わせることが重要です。
- 測定時に手首を動かさないようにし、安定した状態で測定しましょう。
高血圧の原因と合併症
高血圧の主な原因
- 遺伝的要因(家族に高血圧の人がいる場合、発症リスクが高くなる)
- 塩分の過剰摂取(日本人の食事は塩分が多く、高血圧の原因になりやすい)
- 肥満(体重が増えると血圧も上がりやすくなる)
- ストレス(交感神経が刺激され、血圧が上昇する)
- 運動不足(血流が悪くなり、血管が硬くなることで血圧が上昇)
- 喫煙・飲酒(タバコは血管を収縮させ、アルコールの過剰摂取は血圧を上げる)
高血圧が引き起こす合併症
長期間高血圧の状態が続くと、血管がダメージを受け、さまざまな病気を引き起こします。
- 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)
- 心疾患(心筋梗塞・心不全・狭心症など)
- 腎臓病(CKD・腎不全)
- 大動脈瘤・動脈硬化
- 眼疾患(高血圧性網膜症)
特に、腎臓は血圧の調整に関わる重要な臓器であり、高血圧が進行すると腎機能が低下し、最終的には透析が必要になることもあります。
高血圧の治療
生活習慣の改善
高血圧の治療には、まず 生活習慣の見直し が不可欠です。
1. 塩分制限(減塩)
1日の塩分摂取量を 6g未満 に抑えるのが理想です。
味噌汁や漬物、加工食品の摂取を控え、減塩醤油やレモン・酢を活用しましょう。
2. 適度な運動
週3~5回、30分程度の有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳など)を行うと血圧が安定しやすくなります。
3. 体重管理
肥満は高血圧の大きな要因です。適正体重を維持することで血圧をコントロールしやすくなります。
4. 禁煙・節酒
喫煙は血管を傷つけ、高血圧のリスクを高めます。
アルコールは適量(1日ビール500ml、日本酒1合程度)を守りましょう。
5. ストレス管理
過度なストレスは血圧を上げるため、リラックスできる時間を作ることが重要です。
薬物療法(降圧剤)
生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合、医師の判断で降圧薬を処方します。降圧薬にはいくつかの種類があり、患者さんの状態に応じて適切な薬が選ばれます。
主な降圧薬の種類
- 利尿剤(ナトリウム・水分の排出を促し血圧を下げる)
- Ca(カルシウム)拮抗薬(血管を広げて血圧を下げる)
- ACE阻害薬・ARB(腎臓の働きに関わるホルモンを抑え血圧を下げる)
- β(ベータ)遮断薬(心臓の負担を減らし、血圧を下げる)
薬物療法を行う際は、自己判断で中止せず、医師の指示に従いましょう。