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4. 心臓と血管を守るために(心血管系合併症)

[2026.05.07]

透析患者さんにとって、最も注意しなければならない合併症が、心臓や血管の病気です。
心不全、心筋梗梗塞、狭心症、動脈硬化などがそれに当たります。
なぜ透析患者さんは心臓や血管に負担がかかりやすいのでしょうか。

心臓に負担がかかる4つの理由

①水分・塩分のコントロール

腎臓の代わりに水分を排出するのが週に2~3回の透析に限られるため、次の透析までの間、体には必ず水分と塩分が溜まっていきます。体液量が増えると血液の全体の量も増えるため、それを全身に送り出す心臓(ポンプ)はより強い力で働かなければなりません。これは心臓にとって大きな負担となります。

 


②血圧の変動

透析と透析の間は水分が溜まって血圧が上がりやすく、透析で水分を除去すると今度は血圧が下がりやすくなります。このような血圧の乱高下は、心臓だけでなく血管にも大きなストレスを与えます。

 


③ 動脈硬化(血管の石灰化)

リンやカルシウムのバランス異常は、血管の石灰化、つまり動脈硬化を促進します。硬くなった血管は、血液をスムーズに流すことができなくなり、心臓はさらに強い力で血液を押し出さなければならず、疲弊してしまいます。

 


④貧血

酸素を運ぶ赤血球が少ないため、心臓は心拍数を上げて何度も血液を送り出し、全身の酸素不足を補おうとするため、心臓にとって大きな負担になります。

これらの要因が複合的に絡み合い、透析患者さんの心臓には、知らず知らずのうちに大きな負担がかかり続けているのです。

 

 

活躍するお薬

●降圧薬(血圧を下げる薬)

血圧が高い状態が続くと、心臓や血管への負担は計り知れません。
透析患者さんの高血圧の原因は、体内の水分・塩分過多が主な原因ですが、それ以外にも交感神経の緊張や、血管を収縮させる物質の影響など、様々な要因が絡んでいます。
そのため、食事での塩分制限や適切な除水に加えて、降圧薬による血圧コントロールが非常に重要になります。 作用の異なる多くの種類の薬があり、患者さんの心臓の状態や合併症に合わせて、一種類、あるいは複数を組み合わせて使用します。

 


●利尿薬

「透析しているのに、なぜ尿を出す薬を飲むの?」と不思議に思われるかもしれません。 透析を導入してからも、しばらくは尿が少し出ている方が多くいらっしゃいます。
その「残存腎機能」を少しでも長く保ち、透析と透析の間の体重増加を緩やかにする目的で、利尿薬が使われることがあります。たとえ少しでも尿として水分を排出できれば、その分、心臓への負担を軽減し、飲水制限の緩和にもつながります。

 


●心不全治療薬

すでに心臓のポンプ機能が弱っている(心不全)と診断された場合には、心臓を保護し、その働きを助けるためのお薬が使われます。心臓の過剰な働きを抑えて休ませ、長期的に心臓の機能を守る効果があるお薬もあります。また、SGLT2阻害薬という、もともとは糖尿病の薬だったものが、心臓や腎臓を保護する効果が高いことが分かり、心不全治療にも広く使われるようになっています。

 


 

これらの薬は、日々の血圧や体重、心臓の状態を細かく見ながら調整されます。血圧が下がりすぎたり、体調に変化があったりした場合は、すぐに医療スタッフに相談することが大切です。
また心臓(心室)から分泌されるホルモン(BNP)の定期的な測定や、日々の体重管理が、心臓を守る第一歩です。

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