腎臓病(DKD)の治療 「4つの柱」について
糖尿病からくる腎臓病(DKD:糖尿病性腎症)は、放っておくと腎臓の働きがだんだん弱り、透析が必要になることもある病気です。
最近の研究で、4種類のお薬を組み合わせて使うことが腎臓を守り、心臓の病気も予防するうえで大切だとわかってきました。
これを「Four Pillars(4本柱)」と呼びます。
1. RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)
以前から使われている腎臓を守る基本のお薬です。
血圧を下げるだけでなく、腎臓の中の圧力を下げて腎臓への負担を軽くします。
心臓を守る効果もあります。
※腎臓に関するエビデンスでは、ACE阻害薬とARBは同等の腎イベント抑制効果と報告されてます。しかし、心臓に関するエビデンスでは、ACE阻害薬の方がARBより有効性が高いため、心イベント抑制に重点を置く場合は、ACE阻害薬の導入を検討します。
※高度な腎機能低下例では高血症に注意が必要です。また、MRA併用による過度の血圧低下や高血症に注意します。
2. SGLT2阻害薬
本来は糖尿病の薬ですが、腎臓と心臓を守る効果があることが分かり、注目されています。
尿と一緒に余分な糖を出すことで血糖値を下げ、腎臓の負担を減らします。
体重やむくみを減らす効果もあります。
※投与開始前後でeGFR initial drop(腎機能低下)が起こる可能性がありますが、これは糸球体内圧が低下し腎保護が得られたと考えられます。投与3カ月まで、開始前のeGFRから30%までの低下であれば、そのまま継続します。
3. ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)
体の中のホルモン「アルドステロン」の働きを抑える薬です。
腎臓や心臓の細胞が硬くなる(線維化)ことを防ぎます。
最近は「フィネレノン(ケレンディア)」という新しいタイプのお薬が登場し、より使いやすくなっています。
4. GLP-1受容体作動薬
糖尿病の治療薬ですが、体重を減らし、心臓や腎臓を守る効果もあります。
特に「尿にたんぱく(アルブミン)が出るタイプ」の腎臓病で効果が期待できます。
注射薬が中心ですが、1週間に1回のタイプもあり、使いやすくなっています。
糖尿病による腎臓病の治療は、これまでの「血糖と血圧を下げる」だけでなく、
上記4つの薬(Four Pillars)をバランスよく使うことが大切です。
腎臓の働きを守る
心臓病や心不全を防ぐ
透析や入院をできるだけ避ける
ことにつながります。
当院では、患者さん一人ひとりの状態やご希望を大切にしながら、最新の治療を取り入れています。
腎臓や心臓のことでご不安がある方は、ぜひご相談ください。
