痛風・高尿酸血症
痛風・高尿酸血症と腎臓の関係
痛風や高尿酸血症は、単なる関節の痛みだけでなく、腎障害・尿路結石・心血管疾患 とも深く関わっています。尿酸は腎臓から排泄されるため、高尿酸血症を放置すると腎臓に負担をかけ、慢性腎臓病(CKD)につながる 可能性があります。
痛風発作時の受診は内科?整形外科?
痛風発作を起こすと、「整形外科に行くべきか?内科に行くべきか?」と迷う方が多いですが、根本的な原因(高尿酸血症)を治療するためには内科(腎臓内科・糖尿病内科・一般内科)を受診するのが適切 です。
- 整形外科 :関節の腫れや痛みへの対症療法が中心(痛み止めや炎症を抑える治療)
- 内科(腎臓内科・糖尿病内科) :尿酸値をコントロールし、再発予防・合併症予防を行う
当院では、糖尿病専門医・腎臓専門医・管理栄養士がチームで治療をサポートし、痛風発作の対処だけでなく、長期的な尿酸管理まで行います。
痛風・高尿酸血症とは?
① 痛風発作
- 突然、関節が赤く腫れ、激痛が走る(特に足の親指の付け根)
- 「風が吹いても痛い」と表現されるほどの強い痛み
- 放置すると再発を繰り返し、慢性化する(痛風結節ができることも)
- 男性に多い(女性ホルモンが尿酸の排泄を促すため、女性は閉経後に増える)
② 高尿酸血症(尿酸値7.0 mg/dL以上)
- 痛風発作がない場合もあるが、腎臓や血管にダメージを与える
- 尿酸塩が関節や腎臓に沈着し、腎障害や尿路結石の原因となる
- 心血管疾患(動脈硬化・高血圧・心筋梗塞)と関連がある
痛風・高尿酸血症の治療
① 痛風発作時の治療
痛みを抑えるための対症療法が中心ですが、発作が落ち着いた後に再発予防の治療を開始 することが重要です。
- 鎮痛薬(NSAIDs) :ロキソプロフェン、インドメタシンなど
- コルヒチン :炎症を抑え、発作を短期間で軽減
- ステロイド :重症例やNSAIDsが使用できない場合
※痛風発作中に尿酸降下薬(尿酸を下げる薬)を開始すると、発作が悪化することがあるため、落ち着いてから治療を始める。
② 高尿酸血症の治療(生活習慣の改善)
痛風・高尿酸血症の治療には 生活習慣の見直しが必須 です。
- 適正なエネルギー摂取(肥満がある場合は減量)
- プリン体の多い食品を控える(レバー・イカ・エビ・白子・アンコウの肝 など)
- 糖質(特に果糖・ショ糖)を摂りすぎない(清涼飲料水・菓子類に注意)
- アルコール制限(特にビール)
- 十分な水分摂取(1.5~2L/日)
※「プリン体ゼロ」のアルコールでも尿酸値は上昇するため、飲みすぎはNG
③ 薬物療法(尿酸を下げる薬)
生活習慣の改善で尿酸値が下がらない場合、薬物療法を考慮。
① 尿酸の産生を抑える薬(肝臓での尿酸生成を抑える)
薬の種類 | 作用 |
---|---|
アロプリノール | 尿酸の生成を抑える |
フェブキソスタット | アロプリノールより効果が強く、腎機能低下患者にも使いやすい |
トピロキソスタット | CKD患者にも使用可能 |
② 尿酸の排泄を促す薬(腎臓からの尿酸排泄を増やす)
薬の種類 | 作用 |
---|---|
ベンズブロマロン | 腎臓から尿酸を排泄させる(腎機能低下例には注意) |
プロベネシド | 尿酸排泄を促進(尿路結石のリスクに注意) |
※薬の自己判断での中断は、痛風発作を誘発することがあるため注意!
痛風・高尿酸血症と腎臓病の関係
高尿酸血症は腎臓の負担を増やす!
- 尿酸は腎臓で排泄されるため、尿酸値が高いと 腎臓に負担がかかる
- 高尿酸血症の人は慢性腎臓病(CKD)のリスクが2倍以上
- 腎機能が低下すると尿酸排泄が悪化し、さらに尿酸値が上がる悪循環に
尿路結石のリスク増加
- 尿酸は酸性尿で結晶化しやすく、尿路結石の原因となる
- 尿路結石の約10%は尿酸結石(通常の結石と異なりレントゲンに映りにくい)
- 水分摂取を増やし、尿をアルカリ化(野菜・海藻・乳製品を摂取)すると予防可能
まとめ:痛風・高尿酸血症は腎臓を守るためにも早めの治療が重要!
- 痛風発作は「痛みを取る治療」と「再発予防の治療」の両方が必要
- 尿酸値が高いと腎臓病・尿路結石・心血管疾患のリスクが上昇
- 生活習慣の改善(食事・運動・節酒・水分摂取)で尿酸値を管理
- 尿酸値が下がらない場合、尿酸産生抑制薬 or 排泄促進薬を検討
- 腎機能が低下している方は、尿酸値管理を特に厳格に行う必要がある
「尿酸値が高い」と言われたら、痛風発作がなくても放置せず、早めに受診を!
当院では、腎臓専門医・糖尿病専門医・管理栄養士が連携し、根本的な治療を行います。お気軽にご相談ください。